法制審議会が、相続に関する民法改正の中間試案のたたき台を、平成28年5月15日、発表しました。
主なポイントとしては、次の通りです。
例えば、夫が亡くなり、子どもに全財産が相続させるという遺言が残された場合、現行民法では、妻は住んでいる夫名義の住居に住む権利がないため、立ち退きを求められてしまいます。そこで、配偶者の居住権を認める規定が設けられました。
現行民法では、配偶者と子どもが相続人の場合、配偶者の相続分は2分の1であったのを、3分の2に引き上げるものとしています。この引き上げられることについては、すべて引き上げるという案から、婚姻成立後20年(ないし30年)経過した後に引き上げられるとする案も出されています。
相続人ではない妻が夫の親を介護して親が亡くなった場合、現行民法では、妻の介護等については、相続人による介護ではないので、この点を、寄与分として有利に遺産分割を受けることができないとされていました。これを、考慮することができるように改正するというものです。
現行民法では、公正証書ではない、自筆で遺言を残す場合、全文をすべて自筆で書くことが必要でした。高齢者の方にとっては負担が大きく、例えば、不動産の所在地や預貯金口座などを一部ワープロ等で記載することも認める改正案となっています。
以上の改正案ですが、問題点も多いと思います。
そこで、当研究会においては、「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」に関する意見募集(パブリックコメント)として、意見を提出いたしました。
端的にいいますと、中間試案は配偶者を保護する制度を各種検討されていますが、これらは保護すべき配偶者が保護されず、保護すべきでない配偶者が保護される制度になってしまっています。また、従前よりも紛争を誘発する制度となっております。そこで、こういった制度について反対の意見表明をさせていただきました。
何が問題なのかについて、相続研究会パブリックコメントにて、詳しく検討しております。是非、クリックしてご覧いただければと存じます。
相続研究会パブリックコメント(← 是非クリックしてご覧ください。)
あるべき相続制度に向けて、良い制度となるよう祈っています。